顧客ロイヤリティとは?高める方法や施策事例、顧客満足度との違いを解説

顧客ロイヤルティ アイキャッチ

この記事を読んでいるあなたは、

  • 顧客ロイヤルティを高める方法を知りたい
  • 顧客ロイヤルティの企業事例を知りたい
  • 顧客満足度との違いをわかりやすく解説してほしい

上記のように考えているかも知れません。

今回は、そんなあなたに向けて「顧客ロイヤルティとはそもそも何なのかや、顧客ロイヤルティを高める方法、企業事例や顧客満足度との違い」などを解説していきます。

顧客ロイヤルティとは?

疑問 とは

顧客ロイヤルティとは、顧客が特定のブランドのサービスや商品に愛着や信頼を感じることを言います。

ロイヤルティとは、忠誠心を意味する「Loyalty」から派生した言葉であり、企業やブランドに対する信頼や愛着が大きい(小さい)状態を、ロイヤルティ高い(低い)と表現します。

一般的に顧客ロイヤルティは、購買リピート率や顧客満足度調査などから数値化して導き出されます。

顧客ロイヤルティと顧客満足度の違い

顧客ロイヤルティと似た言葉として、顧客満足度という言葉があります

顧客満足度は「顧客がどれだけ満足しているか」を意味しており、マーケティング用語としてはカスタマーサティスフィクション(CS)と呼ばれています。

簡単に言い換えると、顧客が商品やサービスを購入・利用した後に「購入してよかった」と思う度合いが顧客満足度になります

なお、顧客ロイヤルティと顧客満足度の違いを表にまとめると以下のようになります。

顧客ロイヤルティ 顧客満足度
意味
  • ブランドに対する信頼や愛着
  • 他社に乗り換えることなく、使い続けたいといった忠誠心
  • 購入(利用)後の満足度
  • 商品やサービスを購入(利用)した後に「購入(利用)して良かった」と思う度合い
形成時間 時間が掛かる 比較的時間が掛からない
主な分析指標 リピート率、解約率 アンケート調査

顧客ロイヤルティが重要視されるようになった背景

理由

新規顧客を獲得して売上を上げる場合、既存顧客から売上を上げる場合よりも5倍もコストが掛かってしまうと言われています

近年は、インターネットの普及による情報の均質化や人口減少による市場の縮小などが原因となり、企業が顧客を獲得するためのコストがさらに高くなってきています。

これまでは新規顧客を開拓することを重視する企業が多かったのですが、そういった時代背景もあり徐々に既存顧客へのアプローチを重要視している企業が増えてきています。

中長期的に企業の収益を向上させるためには、企業と顧客との関係性を高めて顧客ロイヤルティを高めていくような施策を適切に実行していく必要があります。

顧客ロイヤルティを高めることによる効果

効果

顧客ロイヤルティを高めることで得られる効果やメリットを解説していきます。

リピート客が増加する

顧客ロイヤルティを高めることで、リピート客の比率が増加します

顧客ロイヤルティが高めることで、これまで一回しか購入していなかったような既存顧客のリピート購入を促すことができます

その結果、ある程度の時間は掛かりますが、全体のリピート客の比率を高めることが可能になります。

リピートされる頻度が増える

自社の商品やサービスの種類によっても変わってきますが、顧客ロイヤルティを高めることで、顧客一人あたりのリピート頻度が増加するということが分かっています。

口コミで商品(サービス)を紹介してもらえる可能性が高くなる

ロイヤルティの高いお客さんは、自社商品(サービス)を友人や家族に紹介してくれる可能性が高いです

一般的に、自分の知り合いからの評判や口コミは信頼性が高く、集客おいて非常に大きな効果があると言われています。

現在はインターネットで簡単に口コミや評判を調べられるようになり、一つ一つの情報の価値が下がってきているため、知人や家族などからの紹介は新規顧客の購買を後押しするような大きな力を持つようになっています

顧客単価がUPする

顧客ロイヤルティを高めると、顧客のリピート頻度だけではなく顧客単価にも良い影響があるということが分かっています

アパレルブランドに対して行われた調査では、ロイヤルティが高い顧客と低い顧客の間で、年間の購入額に約3倍もの差があり、一回辺りの購入額にも約1.3倍もの差があったということが判明しています。

これは顧客ロイヤルティが高まることで、これまで他社の商品やサービスの購入に充てていたお金が、自社商品やサービスの購入に流れるため、一人あたりの顧客単価が上がるのだと考えられています。

解約率が低下する

顧客ロイヤルティを高めることで解約率を下げることができるといったメリットがあります

一般的に、解約率を5%下げるだけで、年間利益を25%も増加させられると言われています。

顧客ロイヤルティを高める方法/マーケティング施策

施策

顧客ロイヤルティを高めるための具体的な方法やマーケティング施策を解説していきます。

現状の顧客ロイヤルティを正確に定量分析する

顧客ロイヤルティを高めるためには、顧客の声を正しく定量分析する必要があります

顧客ロイヤルティは、ユーザーの心理の問題であるため、定性的な分析のみを行なっている企業が非常に多いです。

しかし、定性的な分析だけでは、なぜ顧客が自社に信頼や愛着を感じてくれているのかを正確に把握することができません。

そのため、NPS(他社推奨意向)や感動指数といった指標を用いて、顧客ロイヤルティを数値化することが重要になります。

ロイヤルティを高めるためのCX(顧客体験)向上施策を作成する

現状の顧客ロイヤルティを把握したら、どの顧客層にアプローチするかを明確にし、ロイヤルティを高めるためのCX(顧客体験)向上施策を作成しましょう

CX(Customer Experience = 顧客体験)を向上させることは、顧客ロイヤルティを高めることに直結します。

一般的に、CX(顧客体験)を向上させるためには、特に顧客が自社商品やサービスを購入した直後に顧客の期待値を超えることが重要だと言われています。

施策を実行し、検証する

施策や方針が固まったら、それを実行しましょう。

施策を実行する際には、その結果を検証することも重要です。

PDCAサイクルを早く回して、必要に応じて施策を修正していきましょう。

優良顧客を優遇して、自社への愛着をより深めてもらう

顧客ロイヤルティを高める際に、特に重要なのは優良顧客への対応です。

パレートの法則という全体売上額の8割をたった2割優良顧客が占めるというマーケティングの法則があるように、一部の優良顧客が企業を支えているといったケースは多々あります

そのため、既存顧客のロイヤルティを高めるための施策を実行する際には、優良顧客がどのように感じるかといったことを考慮する必要があります。

既存顧客のロイヤルティは高まったけど、優良顧客のロイヤルティが下がってしまった…といったことにならないように注意しましょう。

顧客ロイヤルティを分析する際の指標

分析

顧客ロイヤルティを分析する際の指標を紹介していきます。

他者推奨意向 (NPS)

顧客ロイヤルティを定量分析する際によく利用されるのが、NPS(Net Promoter Score = 他社推奨意向)です。

NPSは以下のような手順で計測されます。

  1. 顧客にこの商品(サービス)を他人に勧める可能性がどれくらいか質問する
  2. 可能性を0~10の11段階で答えてもらう
  3. 11段階のうち、9~10と回答した顧客を「推奨者」として分類する
  4. 7~8と回答した顧客を「中立者」として分類する
  5. 0~6と回答した顧客を「批判者」として分類する
  6. 推奨者の割合から批判者の割合を引いた数値=NPSの指数となる

このNPSの数値は、売上に直結することが立証されているため、非常に重要視されています

LTV (ライフタイムバリュー)

LTV(ライフタイムバリュー)も、ロイヤルティの分析指標となります。

LTVを分析することで、顧客の利用時間や利用金額、利用頻度を把握することが可能になります。

継続利用意向

継続利用意向は、顧客の感情面のロイヤルティを把握するのに非常に有効な分析指標です。

継続利用意向とは、「これからも自社の商品やサービスを利用し続けてもらえるか」といった質問に対する回答を集計することで分析することが可能です。

顧客ロイヤルティを高めた企業の成功事例

企業

顧客ロイヤルティを高めることに成功した企業の事例として、プロ野球のヤクルト球団(以下、ヤクルト)を紹介します。

ヤクルトは、チケット販売システムに顧客ロイヤルティ分析のためのツールを導入しました

顧客のチケット販売動向データを分析することで、ファンクラブ会員向けの先行販売や割引、個別座席の指定など、ファンの細かなニーズに応えることが可能になりました。

そういった施策の結果、ファンの顧客ロイヤルティが高まり、売上やファンクラブの会員数が大幅に向上しました。

顧客ロイヤルティを高める方法まとめ

顧客育成 まとめ

この記事では、「顧客ロイヤルティとはそもそも何なのかや、顧客ロイヤルティを高める方法、企業事例や顧客満足度との違い」などをお伝えしました。

顧客ロイヤルティを高めるためには、定量分析に基づいて施策とPDCAサイクルを回すことが重要です。

顧客ロイヤルティを高めて、安定的かつ効率的な企業経営を目指していきましょう。