この記事を読んでいるあなたは、
- ARRの定義や重要性を知りたい
- ARRの算出方法が知りたい
- ARRとMRRの違いが知りたい
上記のように考えているかもしれません。
この記事では、「ARRの定義や重要な理由、ARRの算出方法」などをお伝えしていきます。
ARR(年間経常収益)とは
ARRとは「Annual Recurring Revenue」の頭文字を取った言葉で、日本語では「年間経常収益」と訳され、毎年一定額受け取ることができる売上のことを意味します。
特にサブスクリプションモデルを採用している企業にとって、ARRは重要な指標となります。
サブスクリプションは様々な料金プランやサービスを提供し、広範囲にわたる顧客のニーズに応えることで継続的に安定した収益を生み出すことができるビジネスモデルです。
年間のARRの変化を把握することで、自社サービスの利用者推移や新規顧客の獲得数、解約率の変化などから企業の経営状況や事業の成長率を算出することができます。
ARRとMRRの違い
MRRとは「Monthly Recurring Revenue」の頭文字を取った略語で、日本語では「月間経常収益」と訳され、1ヶ月ごとに得られる売上を表します。
一般的にARR、MRRどちらが自社に適しているかを判断するには提供しているサービスや契約体系によって異なります。
1ヶ月毎に契約をすることが多い音楽配信や動画配信サービスを提供している企業はMRR、企業向けに長期間利用を目的としたサービスを提供している際はARRを活用することが多いです。
ARRやMRRは自社のビジネスが安定した収益を生んでいるかどうかを確認できる指標であるため、企業で分析したい内容に合わせて活用することが重要です。
ARRの算出方法
ARRを算出する方法は「MRR×12」で求めることができるため、最初にMRRを計算する必要があります。
MRRは以下の要素から成り立っています。
- New MRR:当月に新規顧客によって得られるMRR
- Expansion MRR:先月からプランをアップグレードした顧客によって得られるMRR
- Downgrade MRR:先月からプランを下げた顧客によって失ったMRR
- Churn MRR:当月に顧客が解約して利益を失ったMRR
各MRRを活用して、以下の計算式に当てはめます。
「MRR=先月のMRR+{(1)+(2)-(3)-(4)}」
ARRが重要な理由
企業にとってARRが重要な理由を解説します。
企業の時価総額を算出するため
ARRは企業の時価総額を算出するために必要となります。
投資家は、企業の事業に対する成長率や継続率などを総合的に判断して投資を行うため、ARRは投資家にとって重要な判断材料となります。
そのため将来想定される収益を明確に数値化できるARRは、企業の時価総額を算出するための重要な指標となっています。
ARRを基にKPIを作成するため
ARRを基にKPIが作成されることが多いため、ARRは非常に重要です。
ARRを算出することで、企業が1年間で得た利益を把握することができます。
昨年度と今年度のARRを比較することで、次年度においてARRを向上させるための具体的なKPIを設定することが可能になります。
ARRを比較することで「自社サービスを利用している顧客数が少ないため新規顧客の獲得に重点を置く」や「既存顧客による自社サービスの解約率が高いためサービスを解約されないための対策を行う」などのKPIを設定することが可能になります。
KPIを立てることで企業や社員が行うべきタスクが明確になり、社内一丸となってARRを向上させるための取り組みを行うことが可能になります。
ARRを変化させる4つの要因
ARRを変化させる4つの要因について解説していきます。
新規顧客の獲得
ARRは、新規顧客の獲得数によって変化します。
自社サービスを利用する顧客が増加することでARRも増加します。
例えば、顧客獲得のために営業活動やマーケティング活動を行うことで顧客を獲得することができ、ARR向上につなげることが可能です。
しかし、新規顧客の獲得はコストが発生するため、獲得した顧客から得られる収益をコストが超えないようにすることが重要です。
既存顧客によるアップグレード
ARRは、既存顧客による自社サービスのアップグレードによって変化します。
既存顧客が利用しているサービスのプランをワンランク上げたり、サービスを追加購入したりすることで、新規顧客を獲得するよりもコストを抑えてARRを向上させることができます。
顧客にアップグレードをしてもらうためには、現状のプランから変更した後のメリットを明確に提示する必要があります。
既存顧客による解約
ARRは、既存顧客の解約によっても変化します。
既存顧客が自社サービスを解約することでARRが変化するだけでなく、企業の利益も減少してしまいます。
既存顧客の解約を防ぐためには、利用者が自社サービスに価値を感じてもらえるように改善したり、顧客がサービスを利用する際の快適性を高めたりする必要があります。
既存顧客によるグレードダウン
ARRは、既存顧客による自社サービスのグレードダウンによっても変化します。
既存顧客が自社サービスのグレードダウンを行う要因としては、既存プランの費用対効果が悪かったり、サービスがニーズに応えられていなかったりといったことが挙げられます。
ARRを下げないためには、提供しているサービスの価格や内容を見直したり、顧客ニーズに応えられているか定期的にヒアリングしたりする必要があります。
ARRの定義や重要な理由まとめ
この記事では、「ARRの定義や重要な理由、ARRの算出方法」などについて解説してきました。
ARRは企業にとって非常に重要な指標であり、MRRの要素を明確にすることで正確なARRを計算することができます。
今回の記事を参考にして、ARRを高める施策を行ってみてはいかがでしょうか?